[R6] 長期収載品(その1)問1,2,3【医療上の必要性について】
問1 医療上の必要があると認められるのは、どのような場合が想定されるのか。
(答)保険医療機関の医師又は歯科医師(以下、医師等)において、次のように判断する場合が想定される。
① 長期収載品と後発医薬品で薬事上承認された効能・効果に差異がある場合(※)であって、当該患者の疾病に対する治療において長期収載品を
処方等する医療上の必要があると医師等が判断する場合。
(※)効能・効果の差異に関する情報が掲載されているサイトの一例
PMDAの添付文書検索サイト: https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/
日本ジェネリック製薬協会が公開する「効能効果、用法用量等に違いのある後発医薬品リスト」:
https://www.jga.gr.jp/2023/09/14/230914_effectiveness.pdf
② 当該患者が後発医薬品を使用した際に、副作用や、他の医薬品との飲み合わせによる相互作用、先発医薬品との間で治療効果に差異があったと医師等が判断する場合であって、安全性の観点等から長期収載品の処方等をする医療上の必要があると判断する場合。
③ 学会が作成しているガイドラインにおいて、長期収載品を使用してい
る患者について後発医薬品へ切り替えないことが推奨されており、それ
を踏まえ、医師等が長期収載品を処方等する医療上の必要があると判断
する場合
④ 後発医薬品の剤形では飲みにくい、吸湿性により一包化ができないな
ど、剤形上の違いにより、長期収載品を処方等をする医療上の必要があると判断する場合。ただし、単に剤形の好みによって長期収載品を選択することは含まれない。
また、保険薬局の薬剤師においては、
・ ①、②及び③に関して、医療上の必要性について懸念することがあれば、医師等に疑義照会することが考えられ、
・ また、④に関しては、医師等への疑義照会は要さず、薬剤師が判断することも考えられる。なお、この場合においても、調剤した薬剤の銘柄等について、当該調剤に係る処方箋を発行した保険医療機関に情報提供すること。
問2 治療ガイドライン上で後発医薬品に切り替えないことが推奨されている場合については、長期収載品を使うことについて、医療上の必要性が認められるということでよいか。例えば、てんかん診療ガイドライン 2018(一般社団法人日本神経学会)では、「後発医薬品への切り替えに関して,発作が抑制されている患者では,服用中の薬剤を切り替えないことを推奨する.」、 「先発医薬品と後発医薬品の治療的同等性を検証した質の高いエビデンスはない.しかし,一部の患者で,先発医薬品と後発医薬品の切り替えに際し, 発作再発,発作の悪化,副作用の出現が報告されている」とされているところ、この場合に医療上の必要性は認められるか。
(答)医師等が問1の③に該当すると判断し、長期収載品を処方等する医療上の必要があると判断する場合であれば、保険給付となる。
問3 使用感など、有効成分等と直接関係のない理由で、長期収載品の医療上の必要性を認めることは可能か。
(答)基本的には使用感などについては医療上の必要性としては想定していない。
なお、医師等が問1の1~4に該当すると判断し、長期収載品を処方等する医療上の必要があると判断する場合であれば、保険給付となる。
参考資料)下記は、厚労省の資料ではなく、参考として、本ページ著者がまとめた資料
問1)日本ジェネリック製薬協会が公開する「効能効果、用法用量等に違いのある後発医薬品リスト」は下記のページにまとめた
問2)治療ガイドラインで、後発医薬品について触れられているものについて、下記のページにまとめた