自然災害 BCP

ステップ1 基本方針の策定

災害時に何を優先するかを明確にし、業務継続の基本方針として定める。BCP はここで定める基本方針に基づいて策定していく。
薬局の業務継続の基本方針
  • 従業員及びお客様の安全確保
  • 医薬品の安定供給
  • 医療救護活動への参加
  • 財務基盤の維持
 

ステップ2 被害の想定

BCP 策定の前提とする被害を想定する。どのような規模の被害を前提に業務継続を検討するのか、明らかにする。
★都道府県の防災計画を参照する

(1) 薬局周辺の被害状況

被害想定

地震
地域の活断層の状況などから、防災計画で被害想定がたてられている
BCP を検討する上では、震度6弱以上を想定する
ライフラインの被害
復旧期間
参考資料)首都直下地震等による東京の被害想定(令和4年5月25日公表)(https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/taisaku/torikumi/1000902/1021571.html
電力:
1週間後:電柱や配電線の復旧作業の進捗に伴い、配電線の被害による停電は解消するが、その他の停電は継続する。
1ヶ月後:発電所の多くが復旧し、運転が再開され、停電はほとんど解消される。
通信:
(携帯電話)
1週間後:固定電話の利用困難の解消とともに、それによる携帯電話の通話支障は多くが解消される。
(インターネット)
3日後:停電が継続する地域では、電源を利用するインターネット通信機器(ルーター等)は使えないままである。
3日後:被災地域外からの応援により、通信の復旧活動が開始される。
上水道:
1週間後:管路の復旧が進み、管路被害を原因とする断水や濁水が解消されていく。
1ヶ月後:管路の復旧がほぼ完了し、管路被害を原因とする断水は、概ね解消される。
下水道:
1週間度:管路の応急復旧が進められる
1ヶ月後:管路の応急復旧が完了し、管路被害を原因とする下水道利用の制限が概ね解消される。
ガス:
1ヶ月後〜:建物倒壊や焼失など復旧が困難なエリアを除き、安全点検の終了や管路の復旧により、多くの地域で供給が再開される。
道路・鉄道等の被害
平時に処方箋を応需している医療機関の状況:

(2)自薬局の被害の想定

建物構造や内部の被害
資機材の被害
従業員の参集可否

ステップ3 業務の把握と優先業務の選定

日常的に行っている薬局業務について改めて全体像を整理するとともに、災害時に継続しなければならない有無(優先業務)を選定します。

(1)薬局の通常業務の把握

調剤業務

調剤以外の業務

□ 一般用医薬品の販売 □ 衛生材料の販売 □ 雑貨・食料品の販売 □ 在宅患者訪問薬剤管理指導

定常的な業務

□ 医薬品発注、在庫管理 □ 薬事管理 □ DI業務 □ 構造設備管理 等

不定期に発生する業務

□ 薬学生の受け入れ □ 研修・勉強会等への参加 □ 学会発表、学会出席 □ 地域行事への参加 等
 

(2)薬局の応急業務の把握

応急業務

□ 患者の避難誘導 □ 従業員の安否確認 □ 店舗の状況の確認 □ 平時に処方箋を応需している医療機関、地区薬剤師会等の関係機関への連絡 等
 

(3)優先業務の選定

 

ステップ4 業務資源の把握

優先業務について、業務を実施するために必要なもの(業務資源)を把握
業務資源を整理するための4つの観点
ヒト:薬剤師、医療事務員などの従業員。
モノ:薬局内の常備品と定期的に外部調達が必要なもの(外部調達品)に分けて考えてみましょう。
□ 常備品:電子天秤、分包機、冷蔵庫など薬局が日常的に保有しているもの
□ 外部調達品:医薬品、薬袋、薬包紙など外部からの定期的な供給が必要なもの
情報:処方箋やパソコンに保存しているデータなど、業務に必要な情報
ライフライン:電気、水道、電話、インターネットなど、業務に必要なライフライン
 

ステップ5 リスクの評価

業務資源の利用可能性について、被害想定や現状の対策を参考に評価する
 

ステップ6 業務継続目標の設定

優先業務について、災害発生後の時間経過の中で、どのようなサービスレベルを目指すのか、業務継続の目標を設定
 

ステップ7 対策の検討

先に設定した業務継続目標を実現するために必要となる事前対策を検討する
 

ステップ8 BCP文書の作成

ステップ1~7までの検討結果、災害発生時の危機対応計画、教育訓練計画等を含めた BCP 文書を取りまとめる
 
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