子供の薬の基本知識

くすりのかたち

子どもの薬には、色んな形状があります。
 

シロップ剤

 
シロップ剤は、飲みやすいように、糖類や甘味料を加えたシロップ状の製剤です。
 
まず、泡立たない程度に軽く混ぜてから、
シロップ剤は、容器の目盛りや計量カップを使って、1回分を測り、乳児に直接服用させます。カップにお薬が残っていたら、少量の水を加え、すべて飲ませましょう。
甘いお薬ですので飲みやすいように思えますが、薬の味と合わさってなんとも言えない味の場合もあります。その場合は、少量の飲料を加えて薄めても良いです。
 
常温保存のものが多く、薬局では常温保存の薬が多いですが、家庭に持ち帰ったあとは、冷蔵庫で保管することをオススメします。
 
シロップ剤が入っている容器(投薬瓶)のフタでは飲ませないようにしましょう
口の中のバイキンが中に入り細菌汚染の原因になる場合があります。
 

こな薬

 
粉末状の製剤で、粒の大きさなどによって、散剤細粒剤顆粒剤などがあります。ドライシロップ剤とは、水を加えるとシロップ剤となる、顆粒状または粉末状の製剤をいいます。
 
こな薬の飲ませ方として、こちらのページで、「お薬団子」(ペースト法)や「まねっこ法」をご紹介しています。 薬を飲ませる工夫
 
別包にしているこな薬同士は、原則、別々に飲ませましょう
一緒に合わせると薬の味が変わるため、別包にしている場合があります。混ぜて良いかどうか、事前に確認しましょう。
 

錠剤・カプセル剤

 
粉末状の成分を、錠剤の形に成型した製剤が錠剤、カプセルの中に充填したものがカプセル剤です。
一般的に成分量が多いので、大人用に使うことが多いですが、こなやシロップの独特の味が苦手なお子さんには、薬の量を調整した上で、錠剤やカプセル剤を使うこともあります。
 
特別な製法で作られた錠剤もあります
  • コーティング錠・・薬の匂い・味をマスクするため、光から薬の成分を守るため、コーティングされている錠剤です
  • 徐放性製剤・・腸内で、薬の成分がゆっくりと溶け出すので、長く効く薬です
 
飲み方が工夫された錠剤もあります
  • チュアブル錠・・噛んでのむ錠剤
  • OD錠・・唾液を含んで、口中で速やかに崩れる錠剤
 
 
原則、噛まずに、そのまま飲みましょう
特別な作り方をしている製剤があるので、錠剤は、基本的には、噛んだり、潰したりせずに、そのまま飲みましょう。飲めない場合は、潰して良いか、事前に確認しましょう。
カプセルも、基本的には、カプセルを外さずに、そのまま飲みましょう。
 

坐剤

 
肛門に挿入して使う製剤です。
薬を口から飲めない時にも使えますし、薬を口から飲むよりも坐剤の方が早く効くと言われています。小児科では、解熱鎮痛薬やけいれん止めの薬などで使われる、とても大切な投与経路です。
 
坐剤を使う時に、最も注意すべきことは排便です。
坐剤を挿入したことが、排便を促すスイッチになることがあります。あらかじめ、綿棒などで肛門を刺激し、排便させた後に、坐剤を挿入することも有効です。
 
包装から坐剤を取り出して使いましょう
 
正しい使い方はこちらでご説明しています
 

軟膏・クリーム剤

 
皮膚に塗って使う製剤です。
病気の種類に応じて必要な薬を選択します。また、患部の場所や広さなどに応じて、適切な剤型を使い分けます。
指示通りに使いましょう
正しい使い方はこちらでご説明しています
 
 

くすりのじかん

 
多くの飲み薬は、決まった時間にくすりをのむために、食事の時間に合わせて服薬することが多いです。
あくまでも原則です。原則にならった上で、一人ひとりに合わせた工夫を、医療従事者と一緒に考えましょう。
 
食前(しょくぜん)
いただきますの前に、胃の中が空っぽの時に飲みます
食事の30〜60分前に飲む、が基本的な飲み方です
 
食後(しょくご)
ごちそうさまの後に飲む薬です
食後に飲むと忘れにくく、胃への負担を和らげるために、よく用いられている投与時間です
食後の30分以内に飲む、が基本的な飲み方です
 
食後じゃないといけないの?
特に、乳幼児期は、決められた量を、確実に服薬してもらうことは重要です
食後に服薬すると吐いてしまったり、お腹がいっぱいなので飲めないこともありますあります
食前に服薬すると成功することも多いので、「食前に飲んでも大丈夫ですよ」とお伝えすることも多いです
 
注意!まれに、食後に飲まないと効き目が落ちる薬があります(特に、「食直後」などの特別な指示がある薬など)が、その場合は、説明があると思います。その場合、状況を伝えていただき、どのようにしたら良いか、一緒に考えましょう
 
1日3回じゃないといけないの?
保育園に通っていらっしゃるお子さんなど、昼の服薬が難しい場合があります
体内に、常に有効量の薬を保つために、回数が必要な場合もあります
1日3回の服薬を、保育園から帰った後など、ずらせる場合もありますので、ご相談ください
 
食間 (しょっかん、  しょくかん)
 
おなかの中が空っぽの時に飲む薬です
食事の影響で薬の効き目が失われる薬などで使われる飲み方です
食後の2時間くらい後に飲む、という薬です
 
就寝前 寝る前
寝る前に飲む薬です
原則は、寝る30分くらい前に飲む、という薬ですが、薬によっては、寝る準備を整えて、就寝直前に飲む、という場合もありますので、ご確認ください
 
頓服(とんぷく)
症状があるときに飲む薬です
 

よくある誤解

食間の薬
×「食間の薬を、食事の最中に飲む」
よく間違われやすい飲み方ですです
食間の薬は、お腹が空っぽの時に飲むことで、薬の効果が発揮できます
坐薬
×「坐薬を座って飲む」
これも、よくある間違いです
坐薬は肛門から挿入して使うことで、飲むよりも早く効きますし、飲むと効き目が落ちる薬を効かせることができる投与方法です
とんぷく
×「熱冷ましのこと」
これも、よくある間違いです
頓服薬は、症状があるときに飲む薬です
熱冷ましのことと勘違いして、痛いのに我慢してしまう(熱冷ましでもあり、痛み止めでもある薬の場合)という事例も発生しています

よくある疑問

ご飯を食べられない時
Q. 食事が取れない時、食後の薬はどうしたら良いの?
多くの薬では、「食後」は、一定の時間に飲むための目安の時間です。薬によって胃腸を悪くしないための対策でもあります。
そのため、食事が取れない時、基本的には、少しでも(ビスケットなど軽食)、食べられるものを軽くでも食べてから服薬するように、お願いしています。
でも、どうしても飲めない場合、「多めの水で服薬してください」とお伝えしています。
 
こんな時は注意:
【注意】食直後の薬・・食事が取れないと薬の効き目や副作用リスクに影響する可能性がありますので、個別にご確認ください
【注意】糖尿病の薬・・薬と食事のタイミングが重要です。食事が取れない時には、休薬が必要な薬もありますので、事前に尋ねておきましょう。
とんぷくの薬はいつまで使える
Q. 使わなかったとんぷくの薬は、保管していますが、いつまで使えますか?
とんぷくの薬は、症状があるときに使うので、不要だった時は、ご家庭に残っていることは多いと思います。
保管状況によって異なりますが、一つの目安は下記の通りです。
  • 水薬:処方された使用期間+1週間が目安
    • 水薬は細菌汚染しやすいので、保存できません
    • 廃棄する時は、水で薄めて流しましょう
  • 坐薬:1年程度は大丈夫なことが多いです
  • こな薬:
    • こな薬は、保管中に湿度や光の影響で変質することがあります
    • 保管状況や分包紙によって違いますので、具体的な期間を断定することは難しいです
    • 飲む前に、塊がないか、異物が入っていないか確認しましょう
おすすめ:
とんぷくの薬は、薬を受け取る時に、薬局で使用期限を尋ねて、薬袋やお薬手帳に記録しておきましょう
 

くすりのほかん