便秘治療薬
便秘治療薬
便秘治療薬一覧
コントロール薬
浸透圧性下剤
塩類下剤
酸化マグネシウム
酸化マグネシウム
重質酸化マグネシウム
水酸化マグネシウム
クエン酸マグネシウム:検査前処置
クエン酸マグネシウム(マグコロール散/内用液)
4. 効能又は効果
- 大腸検査(X線・内視鏡)前処置における腸管内容物の排除
- 腹部外科手術時における前処置用下剤
硫酸マグネシウム水和物
4. 効能又は効果○ 便秘症 ○ 胆石症
糖類下剤
ラクツロース
4. 効能又は効果
- 高アンモニア血症に伴う下記症候の改善精神神経障害、手指振戦、脳波異常
- 産婦人科術後の排ガス・排便の促進
- 小児における便秘の改善
D-ソルビトール
4. 効能又は効果
- 消化管のX線造影の迅速化
- 消化管のX線造影時の便秘の防止
- 経口的栄養補給
ラクチトール水和物
4. 効能又は効果非代償性肝硬変に伴う高アンモニア血症
便秘症の保険適応はないが、GLには糖類下剤として記載
浸潤性下剤
ジオクチルソジウムスルホサクシネート・カサンスラノール
ジオクチルソジウムスルホサクシネート・カサンスラノール(ビーマス配合錠)
4. 効能又は効果
- 便秘症
- 腹部臓器検査時又は手術前後の腸管内容物の排除
高分子化合物
ポリエチレングリコール製剤
マクロゴール4000・ナトリウム・カリウム配合剤
マクロゴール4000・塩化ナトリウム・炭酸水素ナトリウム・塩化カリウム
モビコール配合内用剤LD/モビコール配合内用剤HD
4. 効能又は効果 慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)
6. 用法及び用量本剤は、水で溶解して経口投与する。1日1~3回最大投与量1日量:LD 6包又はHD 3包まで1回量:LD 4包又はHD 2包まで)増量・・増量は2日以上の間隔をあけて行う.増量幅は1日量としてLD 2包又はHD 1包まで
マクロゴール4000は経口投与時にほとんど吸収されない
粘膜上皮機能変容薬
ルビプロストン
ルビプロストン(アミティーザカプセル12μg/アミティーザカプセル24μg)
4. 効能又は効果慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)
6. 用法及び用量(成人)1回24μgを1日2回、朝食後及び夕食後に経口投与(適宜減量)
リナクロチド
4. 効能又は効果
- 便秘型過敏性腸症候群
- 慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)
6. 用法及び用量通常、成人にはリナクロチドとして0.5mgを1日1回、食前に経口投与する。なお、症状により0.25mgに減量する。
- 食前・・副作用(下痢)がでにくいように
体内にほとんど吸収されない
IBAT 阻害薬
エロビキシバット水和物
エロビキシバット水和物(グーフィス錠5mg)
慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)
6. 用法及び用量(成人)10mgを1日1回食前(最高用量は1日15mg)
- 食前・・薬が効くように(食事等の刺激により胆汁酸が十二指腸に放出される以前に投与されていることが望ましい)
- 服用後、絶食となった場合、血中濃度が3〜5倍に上昇する可能性があることに注意
代替・補助治療薬
プロバイオティクス
慢性便秘症に有効であると期待され、エビデンスが蓄積されつつある
膨張性下剤
カルメロースナトリウム
4. 効能又は効果 便秘症6. 用法及び用量カルメロースナトリウムとして、通常成人1日1.5〜6gを、多量の水とともに、3回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
6. 用法及び用量(成人)1日1.5〜6g、多量の水とともに、3回に分割経口投与(年齢、症状により適宜増減)
消化管機能改善薬
消化管運動機能改善薬が慢性便秘症にも有効であることが期待されているが、本邦では承認されていない
漢方薬
腸管運動亢進作用を有する生薬:大黄、山椒
- 大黄を含む漢方薬:実証タイプ
- 大黄甘草湯
- 麻子仁丸
- 桃核承気湯
- 潤腸湯
- 大黄を含まない漢方薬:虚証タイプ
- 大建中湯
オンデマンド治療
刺激性下剤
アントラキノン系
センナエキス
センナ・センナ実
センナ・センナ実(アローゼン顆粒)
センノシド
ジフェニール系
ピコスルファートナトリウム水和物
ピコスルファートナトリウム水和物(ラキソベロン)
力価
外用薬
炭酸水素ナトリウム・無水リン酸二水素ナトリウム
炭酸水素ナトリウム・無水リン酸二水素ナトリウム(新レシカルボン坐剤)
オピオイドによる便秘
ガイドラインに基づいた薬物治療, GDMT
薬物治療の前に
排便回数減少型
生活習慣改善や食事療法の効果がない場合
- 浸透圧性下剤
- 改善しない場合
- 粘膜上皮機能変容薬
- IBAT 阻害薬
- 代替・補助療法・・高齢者など患者の病態に応じて選択
- オンデマンド治療・・必要に応じて頓用
便秘の原因となりうる薬剤
用法の特徴
リナクロチド・・食後に服用すると、下痢リスクが高まる可能性がある
4. 効能又は効果
- 便秘型過敏性腸症候群
- 慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)
6. 用法及び用量通常、成人にはリナクロチドとして0.5mgを1日1回、食前に経口投与する。なお、症状により0.25mgに減量する。
- 食前・・副作用(下痢)がでにくいように
- 食後に服用すると、下痢リスクが高まる可能性がある
- 便秘症の方が服用しているので、処方医の判断では、食後に服用可と言われる可能性もあるが、いずれにせよ、薬剤服用中は排便アセスメントを心がける
体内にほとんど吸収されない
エロビキシバット水和物・・食後に服用すると、薬の効果が落ちる可能性がある
エロビキシバット水和物(グーフィス錠5mg)
慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)
6. 用法及び用量(成人)10mgを1日1回食前(最高用量は1日15mg)
- 食前・・薬が効くように(食事等の刺激により胆汁酸が十二指腸に放出される以前に投与されていることが望ましい)
- 服用後、絶食となった場合、血中濃度が3〜5倍に上昇する可能性があることに注意
- 食後服用:望ましくない
- 食欲不振があり、絶食となる可能性がある場合、処方検討する必要があるので、処方医に相談する
薬物動態学的特徴
用法 | PK | 肝機能障害 | 腎機能障害 | ||
---|---|---|---|---|---|
酸化マグネシウム | マグミット | 食前・食後の3回or就寝前に1回 | 高Mg血症の可能性 | ||
マクロゴール4000・塩化ナトリウム・炭酸水素ナトリウム・塩化カリウム | モビコール配合内用剤 | 1日1回 | ー | ー | ー |
ルビプロストン | アミティーザカプセル | 朝夕食後 | CYP2A6阻害 | 中等度・重度: 減量 | 重度: 減量 |
リナクロチド | リンゼス錠 | 食前 | 吸収されない (CYP, P-gp の基質にはならない) | ー | ー |
エロビキシバット水和物 | グーフィス錠 | 食前 | P-糖蛋白質阻害 | 重篤な肝障害: 効果が期待できない |
患者背景を考慮した薬剤選択
妊婦
妊娠中は、プロゲステロンの血中濃度が上昇するために腸蠕動が弱まり、便秘になりやすい
- 生活習慣:まずは、生活習慣の工夫を行う(水分摂取・食事・運動)
- 食品等:食物繊維
エビデンスに基づく助産ガイドライン ー妊娠期・分娩期・産褥期2024
BQ 110 妊娠中の便秘の改善に効果的な方法は何か?
食物繊維の摂取により排便回数が増加し便秘改善の可能性がある
プロバイオティクスには明確なエビデンスがない
- 薬物治療:まずは生活習慣の工夫を優先する。薬物治療が必要な場合、大腸刺激性下剤ではなく、緩下剤のほうがよい。塩類下剤がよく用いられてきた。
- 塩類下剤
- 酸化マグネシウム:有益性
- 大腸刺激性
- 大黄を含む漢方:投与しない方が望ましい
- センノシド:有益性
経口摂取時に吸収されない緩下剤は安全であると期待できる
小児
乳幼児:
小児:
マクロゴール4000・ナトリウム・カリウム配合剤
マクロゴール4000・塩化ナトリウム・炭酸水素ナトリウム・塩化カリウム
モビコール配合内用剤LD/モビコール配合内用剤HD
2歳〜
服用しやすくする工夫を考慮する
薬剤選択において鑑別すべき状態
陥入便
直腸性便秘のひとつ
便がはまりこんで、隙間から下痢状の流動便が流れ落ちる
注意!:下痢だと思って止痢薬を使うのは逆効果
もし、陥入便だったら?・・まず、注腸や浣腸などの処置にて、残留便を出してから、排便コントロールが行われる
マルチモビディティの観点から
腎機能
糖類下剤・・透析患者の便秘のコントロールに重用されている
新規に開発された緩下剤にも期待
【注意】酸化マグネシウム:高Mg血症に注意
維持透析患者の便秘対策, 日本透析医会雑誌, 21 (2), (2006) https://www.touseki-ikai.or.jp/htm/05_publish/dld_doc_public/21-2.pdf
additional effect
高K血症状
高K血症治療薬: ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物(ロケルマ懸濁用散分包)
ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物(ロケルマ懸濁用散分包)
4. 効能又は効果高カリウム血症
- 便秘に対しても有効(高K血症と便秘がある場合に)
消化管機能改善薬
モサプリドクエン酸塩水和物
モサプリドクエン酸塩水和物(ガスモチン)
4. 効能又は効果
- 慢性胃炎に伴う消化器症状(胸やけ、悪心・嘔吐)
- 経口腸管洗浄剤によるバリウム注腸X線造影検査前処置の補助
慢性便秘症に保険適応はない
外国では、5-HT4受容体作動薬が便秘薬として使用されている(日本で承認されている医薬品は、モサプリドのみで、慢性胃炎に対する適応(便秘症の適応症はない))
- 便秘に対しても有効である可能性がある
生活面からみた薬剤
食事
慢性便秘症があると、食欲不振の原因になる