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オレキシン受容体拮抗薬

薬効群名

特長:
  • 依存性や転倒のリスクが低い睡眠薬
  • 薬物相互作用には注意が必要
 

作用機序

オレキシン:
覚醒状態を維持するように働いている脳内物質
オレキシン受容体拮抗薬:
オレキシンの働きを遮断することで、睡眠を促す
オレキシン1受容体(OX1R)、オレキシン2受容体(OX2R)拮抗作用を持つため、DORA(Dual Olexin Olexin Receptor Antagonist)とも言われる

薬剤名

代表的な副作用

眠気
半減期半減期
ダリドレキサント塩酸塩 (クービビック錠)1回50mg <非高齢者> ・(投与1日目)6.92 ・(投与4日目)6.601回50mg <高齢者> ・(投与1日目)9.73 ・(投与4日目)8.87
レンボレキサント (デエビゴ錠)1回2.5mg、14日目 ・50.6 1回10mg、14日目 ・47.41回2.5mg、14日目 ・(健康成人)49.6hr ・(健康高齢者)60.1hr
スボレキサント (ベルソムラ錠)1回2.5mg、単回投与 ・12.5hr
オレキシン受容体拮抗薬の中では、レンボレキサントが最も長時間体内に残存するため、翌朝の持ち越し効果の影響が懸念される
悪夢
レム睡眠を増加させるため、悪夢が起こると考えられている
ダリドレキサント
リアルワールドデータで、他のDORAよりも悪夢、うつ、持ち越し効果のリスクが高い可能性が示されているため注意
うつ病患者には慎重に使用の可否を判断する必要がある
RG1:他の薬
RG2:他のオレキシン受容体拮抗薬
  • 悪夢 (Nightmare)
    • ROR (Dari vs. RG1): 113.74 [95.13, 136]
    • ROR (Dari vs. RG2): 2.35 [1.93, 2.85]
  • うつ症状 (Depression)
    • ROR (Dari vs. RG1): 2.13 [1.39, 3.25]
    • ROR (Dari vs. RG2): 2.31 [1.45, 3.67]
  • 持ち越し効果 (Hangover)
    • ROR (Dari vs. RG1): 127.92 [81.98, 199.62]
    • ROR (Dari vs. RG2): 3.38 [2.04, 5.61]
要因:
  • 悪夢や幻覚・・投与初期
  • ドライマウス
  • 女性で頻度が高い
めまい
 
 

特徴

せん妄の予防効果:
  • 現在、「有効」「効果なし」両方あるため、さらなるエビデンスの集積が待たれる
 

PK特徴

CYP3A4
 
  • オレキシン受容体拮抗薬は、CYP3A4によって代謝される
  • CYP3Aを阻害する薬剤と併用すると、血中濃度が上昇する
 
併用
ダリドレキサント塩酸塩 (クービビック錠)強力な阻害剤: 中程度の阻害剤併用時: ・1日1回25mg
レンボレキサント (デエビゴ錠)中程度又は強力に阻害する薬剤の併用時: ・1日1回2.5mg
スボレキサント (ベルソムラ錠)併用
併用時のオレキシン受容体拮抗薬のPK変化予測

マルチモビディティの観点からみた薬剤

腎機能
 
肝機能
重度の肝機能障害中程度の肝機能障害
ダリドレキサント塩酸塩 (クービビック錠)減量 1日1回25mg
レンボレキサント (デエビゴ錠)上限量の制限 1日1回5mg
スボレキサント (ベルソムラ錠)血中濃度上昇

患者背景からみた薬剤

 

調剤時の注意点

粉砕
ベルソムラ:粉砕不可
 
一包化
ベルソムラ:一包化不可
 

生活面からみた薬剤

|  食 事  |  排 泄  |  睡 眠  |  運 動  |  認知機能  |
過鎮静
食欲減退につながる可能性がある