低血糖
初期症状
「冷や汗がでる、気持ちが悪くなる、急に強い空腹感をおぼえる、寒気がする、動悸がする、手足がふるえる、目がちらつく、ふらつく、力のぬけた感じがする、頭が痛い、ぼんやりする、目の前が真っ暗になって倒れそうになる」などの症状が急に出現したり持続したりするが、食事をとると改善する
「ボーッとしている、うとうとしている、いつもと人柄の違ったような異常な行動をとる、わけのわからないことを言う、ろれつが回らない、意識がなくなる、けいれんを起こす」など
(医療関係者向け)
(患者・一般の方向け)
(改訂内容)
2023年9月20日 第15回重篤副作用総合対策検討会 議事録
○五十嵐座長 続きまして、同じく日本糖尿病学会の松久参考人から、資料2-3につきまして、御説明いただきたいと思います。松久先生、お願いいたします。
○松久参考人 日本糖尿病学会から参加させていただきました徳島大学の松久です。
私のほうは、先ほどの西村先生と対になる低血糖のほうをさせていただきましたが、作成に当たりましては、西村先生の高血糖のチームと低血糖のチームがクロスでチェックしながら、両方の内容を確認して日本糖尿病学会の多くの人の目を通した上でまとめようということでさせていただきました。
私どもの平成30年の改定の後、現在までに行われてきた低血糖に関わる大きな変更点に関しましては、従来、低血糖のときの処置薬として使われてきたグルカゴンが注射製剤から点鼻製剤が出てきたということで、それに関しましては、患者さん向けには7ページの下から4行目のところに記載し、また、医師向けには16ページの真ん中の段に近いところでグルカゴンの処方に関して記載しております。特に家族の方しか処方できないということを改めて強調して意識して書いております。
また、もう一点、大きな変更点としましては、最近、臨床の場では、血糖を従来の血糖自己測定、指先の穿刺によって行ってきた血糖測定から、リアルタイムに血糖を持続的に測定できるリアルタイム持続グルコース測定あるいはスキャン式持続グルコース測定というものが臨床でかなり汎用されるようになってきております。特にリアルタイム持続グルコース測定は、血糖が高いあるいは低いと警告音を発するので、そういうことについて17ページの後半の低血糖の予防の部分で記載しております。
さらに、もう一点の改定点としましては、最近、クロピドグレルとレパグリニドの併用によって低血糖が起こるという症例の報告がございまして、メカニズム的にも少し分かってきておりますので、20ページの症例4としまして、そのような症例を記載して、また、文献も添えさせていただいて、併用によってレパグリニドの代謝が遅くなって、それによって血中濃度が高まり、低血糖を来すということの記載をしております。
それ以外はマイナーな修正になっておりまして、大きな変更点はございません。
後半部分、22ページ以降の薬に関して、薬のカテゴリー等の文言を現在の製品に近いものに修正することもしております。
私からは以上です。
- グルカゴン点鼻製剤について記載
- 患者さん向けには7ページの下から4行目のところ
- 医師向けには16ページの真ん中の段に近いところ
- リアルタイム血糖測定:リアルタイム持続グルコース測定・スキャン式持続グルコース測定
- 特にリアルタイム持続グルコース測定は、血糖が高いあるいは低いと警告音を発することについて17ページの後半の低血糖の予防の部分で記載
- クロピドグレルとレパグリニドの併用によって低血糖が起こるという症例の報告
- 20ページの症例4に記載
- 併用によってレパグリニドの代謝が遅くなって、それによって血中濃度が高まり、低血糖を来すということの記載
2018年5月31日 第10回重篤副作用総合対策検討会 議事録
○五十嵐座長 続きまして、資料2-9と資料2-10の高血糖、低血糖のマニュアル(案)について、日本糖尿病学会から参考人として、綿田先生にお越しいただきました。先生から御説明をお願いします。よろしくお願いします。
○綿田参考人 よろしくお願いいたします。
資料2-10、低血糖に関しては、糖尿病学会のほうでここ2年、重症低血糖がどのような背景で起きているか全国調査を行いましたので、その結果を反映し、国民に広くその危険性に関して十分に周知する必要があると考え、これに取り組もうということで改訂の必要があるとお返事させていただきました。この低血糖のマニュアルに関しても、今回の調査によって分かったのは、重症低血糖が起こる背景は、高齢者であること、血糖コントロールが良すぎること、さらにSU剤、過インスリンを使っていることが大きなリスクファクターです。ですから、「患者の皆様へ」の所に、やはり、家族あるいは介護者に関するメッセージを加えるとともに、なるべく分かりやすい図を加えたりすること。さらに症例に関しては、17、18ページにありますが、インスリンによる低血糖、SU薬による重症低血糖を加えております。あとは実際低血糖を引き起こす薬剤のアップデートを行いました。以上が主な改訂のポイントです。
糖尿病治療に関連した重症低血糖の調査委員会報告
2011年2月16日 第7回重篤副作用総合対策検討会 議事録
○松本座長 続いて低血糖のマニュアルについて説明をお願いいたします。
○事務局 資料1-2の5頁~7頁をご覧ください。インスリンの注射、経口糖尿病薬を服用している場合に、血中のブドウ糖濃度が下がりすぎる低血糖が見られます。糖尿病薬のみならず抗不整脈薬などを服用した場合にも起こることがあります。症状としては、血糖値が60-70mg/dL未満になると、「冷や汗が出る」「気持ちが悪くなる」「動悸がする」「手足が震える」「ふらつく」「頭が痛い」などの交感神経症状が出現いたします。さらに、血糖値が30mg/dL未満になると、「ぼんやりする、うとうとしている、呂律が回らない、意識がなくなる」等、中枢神経症状が出現いたします。中枢神経症状が数時間以上続くと、稀に脳の重大な後遺症や生命の危機を生じることがあります。イラストは7頁に3つ載せています。頭痛、手足の震え、意識がなくなるを表しています。概要は以上です。
なお、本マニュアルを作成いただきました日本糖尿病学会より、東京女子医科大学准教授の佐倉先生に参考人としてご出席いただいております。事務局からは以上です。
○松本座長 佐倉先生から補足がありましたらお願いいたします。
○佐倉参考人 「患者の皆様へ」のところは、いま事務局から説明していただいたとおりです。
「医療関係者の皆様へ」は、1は同じなのですが、特に低血糖はインスリン、これは本来治療に使う主作用が効きすぎて起きるのですが、臨床の現場では、圧倒的にインスリンによる低血糖が多いので、それを項目として分けて、次に経口糖尿病治療薬による低血糖で、これも本来の作用が強く出すぎて起きるものですが、この2つは別個に分けさせていただいて、あとの薬物による低血糖はそれほど頻度は多くないので、まとめて書かせていただきました。(4)が患者側のリスク因子、(5)が投薬上のリスク因子です。
副作用の概要については、自覚症状は患者向けに書いたところを、やや専門的に書いてみました。3の副作用の判定基準は、血糖を測るのがほとんどすべてと言っていいと思いますが、その前に、疑うことも重要であるということを書きました。13頁の4は、薬による低血糖と判別が必要な疾患として、低血糖が起きるような疾患について列記いたしました。15頁、5の治療法としては、最初には緊急の対応が必要であるということで、その対応法を書いています。16頁は、薬物の中止あるいは減量です。1回低血糖を起こした方は反復して起こしやすいので、2回目以降の予防をどうするかについて書いています。
17頁6の典型的な症例ですが、1つは経口糖尿病薬のナテグリニド、症例2はコハク酸ジベンゾリンという不整脈薬、症例3はレボフロキサシンという抗菌薬について文献から取ってきました。20頁以降は薬の名前が出ていますが、これは先ほどと同じで、ガチフロキサシン等はもうなくなっていますし、21頁のGLP-1受動体作動薬にリラグルチドと書いてありますが、この2月にエキセナチドという新しい薬物も承認されましたので、それも加えたほうがいいかと思います。私からは以上です。