骨粗鬆症治療薬
骨粗鬆症治療薬
骨粗鬆症治療薬は大きく2つのカテゴリーに分類されます。
- 骨吸収抑制薬(Antiresorptive agents)
- 骨形成促進薬(Anabolic agents)
骨粗鬆症治療薬は、骨の強度を改善し、骨折リスクを低減することを目的とした薬剤です

骨吸収抑制薬(アンチリソープティブ)
骨吸収(破骨細胞による骨の分解)を抑えて、骨量の減少を防ぐ
骨の減少を抑えることで骨を強くする
ビスホスホネート製剤
破骨細胞のアポトーシス誘導→骨吸収抑制
破骨細胞形成を促すRANKLを中和し、破骨細胞活性を強力に抑制
- デノスマブ
選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)
骨ではエストロゲン様作用を示し、破骨細胞を抑制。
乳腺や子宮ではエストロゲンを拮抗。
カルシトニン製剤
破骨細胞活性を抑制し、骨吸収を低下させる。
椎体骨折時の痛み緩和にも用いられる。
骨形成促進薬(アナボリック)
骨形成(骨芽細胞による骨の形成)を促進して、骨量を増加させる
骨の減少を抑えることで骨を強くする
副甲状腺ホルモン(PTH)製剤
- テリパラチド
間欠的投与により骨芽細胞を刺激し、骨形成を優位に促進。
- アバロパラチド
デュアルアクション(骨形成促進+骨吸収抑制)
抗スクレロスチン抗体製剤
骨芽細胞分化を抑えるスクレロスチンを中和し、骨形成を促進すると同時に骨吸収を抑制。(二重作用)
- ロモソズマブ
骨代謝調節薬
骨の原材料を補い骨を強くする
活性型ビタミンD₃製剤
腸管でのカルシウム吸収を促進し、骨へのカルシウム沈着を助ける。骨代謝バランスも調整。
ビタミンK2製剤
骨の骨芽細胞に作用することで骨の形成を促進
カルシウム製剤
骨の主要構成成分であるカルシウムを補給し、骨形成をサポート。
- 骨折リスク評価
- 年齢・性別・既往骨折・骨密度検査(DXA)などから総合的にリスクを判断。
- Tスコア ≤ −2.5 かつ骨折リスク高値例は積極的治療を検討。
- 初期治療としては「骨吸収抑制薬」が中心
- まずはビスホスホネート系やデノスマブなどで骨吸収を抑制。
- 腎機能や服用方法(姿勢や空腹かどうか)、患者のコンプライアンスを確認。
- 重症例や骨折リスク極めて高い例では「骨形成促進薬」を検討
- 過去に椎体骨折や大腿骨近位部骨折既往がある、Tスコアが非常に低い場合など。
- 投与期間(PTH製剤は24ヶ月以内、スクレロスチン阻害薬は投与前後のカルシウム管理)に留意。
- 維持期・長期管理ではビタミンD・カルシウム補給を必須
- 骨質を保つために日常的な栄養補給として併用。
- 血清Ca・P値、腎機能をモニタリングしながら適量を維持。
- 閉経後骨粗鬆症
- CKD-MBD
- 慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の治療
副作用や禁忌を早期に察知・対応
- ビスホスホネート系:食道炎・顎骨壊死。
- デノスマブ:低カルシウム血症・投与間隔管理(中断による骨量リバウンド)。
- PTH製剤:血清Caモニタリング。
- SERM:血栓症サイン(日常の脚痛・腫れに注意)。
- 活性型ビタミンD:高カルシウム血症の徴候(吐き気、頻尿、倦怠感など)。
骨粗鬆症ケアマップ

| 大腿骨近位部 (大腿骨頸部骨折) | 椎体骨 (脊椎圧迫骨折) | 橈骨遠位端 (手首の骨折) | ||
| 骨吸収抑制薬 | ||||
シーケンシャル(順次)治療
①デュアルアクション(骨形成促進+骨吸収抑制)/骨形成促進薬(アナボリック)
- ロモソズマブ
- テリパラチド
- アバロパラチド
→②骨吸収抑制薬
- ビスホスホネート製剤
- デノスマブ
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版
| 骨密度 | 椎体骨折 | 非椎体骨折 | 大腿骨近位部骨折 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| エチドロネート | 上昇効果がある(A) | 抑制するとの報告がある(B) | 抑制するとの報告はない(C) | 抑制するとの報告はない(C) | |
| アレンドロネート | 上昇効果がある(A) | 抑制する(A) | 抑制する(A) | 抑制する(A) | |
| リセドロネート | 上昇効果がある(A) | 抑制する(A) | 抑制する(A) | 抑制する(A) | |
| ミノドロネート | 上昇効果がある(A) | 抑制する(A) | 抑制するとの報告はない(C) | 抑制するとの報告はない(C) | 疼痛の改善効果 他BP薬効果不十分例で骨密度上昇効果 |
| イバンドロネート | 上昇効果がある(A) | 抑制する(A) | 抑制するとの報告がある(B) | 抑制するとの報告はない(C) |
| 骨密度 | 椎体骨折 | 非椎体骨折 | 大腿骨近位部骨折 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| カルシウム薬 | わずかであるが上昇するとの報告がある(B) | 抑制するとの報告がある(B) | 抑制するとの報告がある(B) | 抑制するとの報告はない(C) | |
| 女性ホルモン薬: エストラジオール | 上昇効果がある(A) | 抑制するとの報告がある(B) | 抑制するとの報告がある(B) | 抑制するとの報告はない(C) | |
| アルファカルシドール、カルシトリオール | 上昇するとの報告がある(B) | 抑制するとの報告がある(B) | 抑制するとの報告がある(B) | 抑制するとの報告はない(C) | |
| エルデカルシトール | 上昇効果がある(A) | 抑制する(A) | 抑制するとの報告がある(B) | 抑制するとの報告はない(C) | |
| メナテトレノン | わずかであるが腰椎骨密度の上昇効果がある(B) | 抑制するとの報告がある(B) | 抑制するとの報告がある(B) | 抑制するとの報告はない(C) | |
| ラロキシフェン | 上昇効果がある(A) | 抑制する(A) | 抑制するとの報告がある(B) | 抑制するとの報告はない(C) | |
| バゼドキシフェン | 上昇効果がある(A) | 抑制する(A) | 抑制するとの報告がある(B) | 抑制するとの報告はない(C) | |
| カルシトニン製剤 | 上昇するとの報告がある(B) | 抑制するとの報告がある(B) | 抑制するとの報告はない(C) | 抑制するとの報告はない(C) | 日本での効能・効果は「骨粗鬆症における疼痛」であり、疼痛を有する症例に対し疼痛改善に有効である(A) |
| テリパラチド | 上昇効果がある(A) | 抑制する(A) | 抑制する(A) | 抑制するとの報告はない(C) | |
| テリパラチド酢酸塩 | 上昇効果がある(A) | 抑制する(A) | 抑制するとの報告はない(C) | 抑制するとの報告はない(C) | |
| デノスマブ | 上昇効果がある(A) | 抑制する(A) | 抑制する(A) | 抑制する(A) |
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版