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骨粗鬆症治療薬

骨粗鬆症治療薬

3ステップで理解する臨床薬理

骨粗鬆症治療薬は大きく2つのカテゴリーに分類されます。
  1. 骨吸収抑制薬(Antiresorptive agents)
  1. 骨形成促進薬(Anabolic agents)
 

1. どんな薬?

骨粗鬆症治療薬は、骨の強度を改善し、骨折リスクを低減することを目的とした薬剤です

骨吸収抑制薬(アンチリソープティブ)

骨吸収(破骨細胞による骨の分解)を抑えて、骨量の減少を防ぐ
骨の減少を抑えることで骨を強くする
ビスホスホネート製剤
破骨細胞のアポトーシス誘導→骨吸収抑制
RANKL阻害薬(抗RANKL抗体薬)
 
破骨細胞形成を促すRANKLを中和し、破骨細胞活性を強力に抑制
  • デノスマブ
選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)
骨ではエストロゲン様作用を示し、破骨細胞を抑制。
乳腺や子宮ではエストロゲンを拮抗。
カルシトニン製剤
破骨細胞活性を抑制し、骨吸収を低下させる。
椎体骨折時の痛み緩和にも用いられる。

骨形成促進薬(アナボリック)

骨形成(骨芽細胞による骨の形成)を促進して、骨量を増加させる
骨の減少を抑えることで骨を強くする
副甲状腺ホルモン(PTH)製剤
  • テリパラチド
ヒト副甲状腺ホルモン関連ペプチド(hPTHrP)アナログ
 
間欠的投与により骨芽細胞を刺激し、骨形成を優位に促進。
  • アバロパラチド

デュアルアクション(骨形成促進+骨吸収抑制

抗スクレロスチン抗体製剤
骨芽細胞分化を抑えるスクレロスチンを中和し、骨形成を促進すると同時に骨吸収を抑制。(二重作用)
  • ロモソズマブ
 

骨代謝調節薬

骨の原材料を補い骨を強くする
活性型ビタミンD₃製剤
腸管でのカルシウム吸収を促進し、骨へのカルシウム沈着を助ける。骨代謝バランスも調整。
ビタミンK2製剤
 
骨の骨芽細胞に作用することで骨の形成を促進
カルシウム製剤
骨の主要構成成分であるカルシウムを補給し、骨形成をサポート。
 

2. どんな使い方

  • 骨折リスク評価
    • 年齢・性別・既往骨折・骨密度検査(DXA)などから総合的にリスクを判断。
    • Tスコア ≤ −2.5 かつ骨折リスク高値例は積極的治療を検討。
  • 初期治療としては「骨吸収抑制薬」が中心
    • まずはビスホスホネート系やデノスマブなどで骨吸収を抑制。
    • 腎機能や服用方法(姿勢や空腹かどうか)、患者のコンプライアンスを確認。
  • 重症例や骨折リスク極めて高い例では「骨形成促進薬」を検討
    • 過去に椎体骨折や大腿骨近位部骨折既往がある、Tスコアが非常に低い場合など。
    • 投与期間(PTH製剤は24ヶ月以内、スクレロスチン阻害薬は投与前後のカルシウム管理)に留意。
  • 維持期・長期管理ではビタミンD・カルシウム補給を必須
    • 骨質を保つために日常的な栄養補給として併用。
    • 血清Ca・P値、腎機能をモニタリングしながら適量を維持。
  • 閉経後骨粗鬆症
  • CKD-MBD
    • 慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の治療
 

3. 注意点は?

副作用や禁忌を早期に察知・対応
  • ビスホスホネート系:食道炎・顎骨壊死。
  • デノスマブ:低カルシウム血症・投与間隔管理(中断による骨量リバウンド)。
  • PTH製剤:血清Caモニタリング。
  • SERM:血栓症サイン(日常の脚痛・腫れに注意)。
  • 活性型ビタミンD:高カルシウム血症の徴候(吐き気、頻尿、倦怠感など)。
 
 
骨粗鬆症ケアマップ
旭化成ファーマ
旭化成ファーマ
 

骨粗鬆症の骨折予防効果

大腿骨近位部 (大腿骨頸部骨折)椎体骨 (脊椎圧迫骨折)橈骨遠位端 (手首の骨折)
骨吸収抑制薬

骨折リスクが高い骨粗鬆症

シーケンシャル(順次)治療

デュアルアクション(骨形成促進+骨吸収抑制)/骨形成促進薬(アナボリック)
  • ロモソズマブ
  • テリパラチド
  • アバロパラチド
→②骨吸収抑制薬
  • ビスホスホネート製剤
  • デノスマブ
 
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版
骨密度椎体骨折非椎体骨折大腿骨近位部骨折
エチドロネート上昇効果がある(A)抑制するとの報告がある(B)抑制するとの報告はない(C)抑制するとの報告はない(C)
アレンドロネート上昇効果がある(A)抑制する(A)抑制する(A)抑制する(A)
リセドロネート上昇効果がある(A)抑制する(A)抑制する(A)抑制する(A)
ミノドロネート上昇効果がある(A)抑制する(A)抑制するとの報告はない(C)抑制するとの報告はない(C)疼痛の改善効果 他BP薬効果不十分例で骨密度上昇効果
イバンドロネート上昇効果がある(A)抑制する(A)抑制するとの報告がある(B)抑制するとの報告はない(C)
骨密度椎体骨折非椎体骨折大腿骨近位部骨折
カルシウム薬わずかであるが上昇するとの報告がある(B)抑制するとの報告がある(B)抑制するとの報告がある(B)抑制するとの報告はない(C)
女性ホルモン薬: エストラジオール上昇効果がある(A)抑制するとの報告がある(B)抑制するとの報告がある(B)抑制するとの報告はない(C)
アルファカルシドール、カルシトリオール上昇するとの報告がある(B)抑制するとの報告がある(B)抑制するとの報告がある(B)抑制するとの報告はない(C)
エルデカルシトール上昇効果がある(A)抑制する(A)抑制するとの報告がある(B)抑制するとの報告はない(C)
メナテトレノンわずかであるが腰椎骨密度の上昇効果がある(B)抑制するとの報告がある(B)抑制するとの報告がある(B)抑制するとの報告はない(C)
ラロキシフェン上昇効果がある(A)抑制する(A)抑制するとの報告がある(B)抑制するとの報告はない(C)
バゼドキシフェン上昇効果がある(A)抑制する(A)抑制するとの報告がある(B)抑制するとの報告はない(C)
カルシトニン製剤上昇するとの報告がある(B)抑制するとの報告がある(B)抑制するとの報告はない(C)抑制するとの報告はない(C)日本での効能・効果は「骨粗鬆症における疼痛」であり、疼痛を有する症例に対し疼痛改善に有効である(A)
テリパラチド上昇効果がある(A)抑制する(A)抑制する(A)抑制するとの報告はない(C)
テリパラチド酢酸塩上昇効果がある(A)抑制する(A)抑制するとの報告はない(C)抑制するとの報告はない(C)
デノスマブ上昇効果がある(A)抑制する(A)抑制する(A)抑制する(A)
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版