外用薬
処方欄には、投薬すべき医薬品名、分量、用法及び用量を記載します
「分量」
基本的なルール
別紙2 診療録等の記載上の注意事項
第5 処方箋の記載上の注意事項
7 「処方」欄について
(2) 分量は、内服薬については1日分量、内服用滴剤、注射薬及び外用薬については投与総量、 屯服薬については1回分量を記載すること。
(3) 用法及び用量は、1回当たりの服用(使用)量、1日当たり服用(使用)回数及び服用(使用)時点(毎食後、毎食前、就寝前、疼痛時、○○時間毎等)、投与日数(回数)並びに服用(使用)に際しての留意事項等を記載すること。特に鎮痛・消炎に係る効能・効果を有する貼付剤(麻薬若しくは向精神薬であるもの又は専ら皮膚疾患に用いるものを除く。) については、1回当たりの使用量及び1日当たりの使用回数又は投与日数を必ず記載すること。
なお、分割指示に係る処方箋を交付する場合は、分割した回数ごとにそれぞれ調剤すべき投与日数(回数)を記載し、当該分割指示に係る処方箋における総投与日数(回数)を付記すること。
外用薬
分量
外用薬の場合、投与総量を記載します
用法及び用量
用法・用量については、以下の事項を記載します。
- 1回当たりの服用(使用)量
- 1日当たり服用(使用)回数
- 服用(使用)時点・・・(例)(毎食後、毎食前、就寝前、疼痛時、○○時間毎等)
- 投与日数(回数)
- 服用(使用)に際しての留意事項等
- 外用薬は、用法として、「使用部位」の記載も必要です
注意すべき事例
貼付剤
・医薬品名
・投与総量
・用法
用法及び用量
「鎮痛・消炎に係る効能・効果を有する貼付剤」を処方する場合、
- 「1回当たりの使用量」 に加えて、
- 「1日当たりの使用回数」又は「投与日数」 を記載します
ただし、「麻薬・向精神薬」や「もっぱら皮膚疾患に用いるもの」については、この記載は不要です。
薬効分類番号「264 鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤」の貼付剤(テープ剤・パップ剤)が、この記載方法の対象であるといえます。
上限枚数
1処方について、「264 鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤」の貼付剤(テープ剤・パップ剤)の処方上限は、63枚までです。
別表第一 医科診療報酬点数表
別表第一 医科診療報酬点数表
第5部 投薬
通則
5 入院中の患者以外の患者に対して、1処方につき63枚を超えて貼付剤を投薬した場合は、区分番号F000に掲げる調剤料、区分番号F100に掲げる処方料、区分番号F200に掲げる薬剤(当該超過分に係る薬剤料に限る。)、区分番号F400に掲げる処方箋料及び区分番号F500に掲げる調剤技術基本料は、算定しない。ただし、医師が疾患の特性等により必要性があると判断し、やむを得ず63枚を超えて投薬する場合には、その理由を処方箋及び診療報酬明細書に記載することで算定可能とする。
診療報酬の算定方法の一部を改正する件、厚生労働省告示第57号、令和6年
別添1 医科診療報酬点数表に関する事項
第5部 投薬
通則
10 「通則5」の貼付剤とは、鎮痛・消炎に係る効能・効果を有する貼付剤(麻薬若しくは向精神薬であるもの又は専ら皮膚疾患に用いるものを除く。)をいう。ただし、各種がんにおける鎮痛の目的で用いる場合はこの限りでない。
診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)、保医発0305第4号、令和6年3月5日
やむを得ず63枚を超えて投薬する場合には、その理由を、「処方せんの備考欄」および「診療報酬明細書」に記載する必要があります。
別紙2 診療録等の記載上の注意事項
第5 処方箋の記載上の注意事項
8 「備考」欄について
(7) 1処方につき 63 枚を超えて鎮痛・消炎に係る効能・効果を有する貼付剤(麻薬若しくは向精神薬であるもの又は専ら皮膚疾患に用いるものを除く。)を投与する場合は、当該貼付剤の投与が必要であると判断した趣旨を記載すること。
疑義解釈資料の送付について(その6)、令和4年4月21日
【投薬】
問7 湿布薬については、1処方当たりの枚数が制限されているが、これは湿布薬の種類ごとの上限枚数ではなく、1処方における全ての種類の湿布薬の合計に係る上限枚数という理解でよいか。
(答)よい。なお、これに伴い、「疑義解釈資料の送付について(その1)」(平成 28 年3月 31 日事務連絡)別添1の問 128 は廃止する。
ジクトルテープ
ジクトルテープは、当初全身作用を目的として、各種がんにおける鎮痛に使うために開発されましたが、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎にも適応拡大されており、薬効分類番号は「114 解熱鎮痛消炎剤」です。
- 「鎮痛・消炎に係る効能・効果を有する貼付剤」
- 各種がんにおける鎮痛の目的で使用する貼付剤
2通りの使用目的があります。
処方枚数の上限
処方枚数の上限があるのは、「鎮痛・消炎に係る効能・効果を有する貼付剤」についてです。
ジクトルテープの場合、「各種がんにおける鎮痛」の目的でも使用される薬剤です。
- 腰痛症等における鎮痛・消炎のために使う場合:
- 【上限あり】1処方につき63枚
- 各種がんにおける鎮痛の目的で使う場合:
- 【上限なし】
疑義解釈資料(その47)
【外用薬】
問2 湿布薬については、1 処方につき 63 枚の上限枚数となっているが、ジクトルテープ 75mg を「腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎」の目的で使用する場合も同取扱いの対象となるか。また、ジクトルテープ75mg を含め、処方された湿布薬全体の合計上限枚数が 63 枚ということか。
(答)そのとおり。本剤は、当該取扱いに該当している既存の製剤とは異なり、製剤上の工夫により全身作用を有する経皮吸収型製剤であり、薬効分類が解熱鎮痛消炎剤である。ただし、本剤は当該取扱いに該当する医薬品と同様の「効能又は効果」も有している貼付剤であることから、「腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎」の目的で使用する場合は対象となる。また、医師が疾患の特性等により必要性があると判断し、やむを得ず 63 枚を超えて投薬する場合には、その理由を処方箋及び診療報酬明細書に記載することで算定可能とすること。 また、「各種がんにおける鎮痛」の目的で使用する場合は、当該取扱いの対象とならない
何日分か
令和6年の改訂では、「鎮痛・消炎に係る効能・効果を有する貼付剤については、1回当たりの使用量及び1日当たりの使用回数又は投与日数を必ず記載すること」となったので、各種がんにおける鎮痛の目的で使う場合には、必ずしも記載しないといけないわけではない、と読めます。
補足
ジクトルテープは全身作用を期待する鎮痛剤であり、3枚貼付が経口剤の通常用量(内服100mg)に相当します
・腰痛症等における鎮痛・消炎のために使う場合:
・1日1回、1枚または2枚
・各種がんにおける鎮痛:
・1日1回、1回2枚(上限3枚)
うがい薬
保険診療の適用について
以下の場合は、保険適用されません。
- 治療を目的としない場合(予防など)に、
- 処方せんにうがい薬のみを記載する
咽頭炎などがあり、その治療目的であれば保険適用
別表第一 医科診療報酬点数表
別表第一 医科診療報酬点数表
第5部 投薬
通則
- 入院中の患者以外の患者に対して、うがい薬のみを投薬した場合には、区分番号F000に掲げる調剤料、区分番号F100に掲げる処方料、区分番号F200に掲げる薬剤、区分番号F400に掲げる処方箋料及び区分番号F500に掲げる調剤技術基本料は、算定しない。
診療報酬の算定方法の一部を改正する件、厚生労働省告示第57号、令和6年
別添1 医科診療報酬点数表に関する事項
第5部 投薬
通則
- 「通則4」については、うがい薬のみの投薬が治療を目的としないものである場合には算定しないことを明らかにしたものであり、治療を目的とする場合にあっては、この限りでない。 なお、うがい薬とは、薬効分類上の含嗽剤をいう。
診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)、保医発0305第4号、令和6年3月5日
疑義解釈資料の送付について(その1)(平成26年3月31日付事務連絡)
(問74)ベンゼトニウム塩化物等のように、薬効分類上で「含嗽剤」ではなく「その他の歯科用口腔用薬」に分類される薬剤は対象とならないという理解して良いか。
(答) そのとおり。
疑義解釈資料の送付について(その2)(平成26年4月4日付事務連絡)
【うがい薬】
(問51)うがい薬のみ投与された場合、当該うがい薬に係る処方料、調剤料、薬剤料、処方せん料が算定できない規定となったが、治療目的でうがい薬のみ投与された場合は算定できると考えてよいか?
(答) そのとおり。処方料、調剤料、薬剤料、処方せん料は算定できる。
血行促進・皮膚保湿剤
(ヘパリンナトリウム又はヘパリン類似物質に限る)
保険診療の適用について
以下の場合でなければ、保険適用されません。
- 疾病の治療を目的としたもの かつ、
- 医師が当該保湿剤の使用が有効であると判断した場合
別添1 医科診療報酬点数表に関する事項
第5部 投薬
通則
- 入院中の患者以外の患者に対して、血行促進・皮膚保湿剤(ヘパリンナトリウム又はヘパリン類似物質に限る。)を処方された場合で、疾病の治療を目的としたものであり、かつ、医師が当該保湿剤の使用が有効であると判断した場合を除き、これを算定しない。
診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)、保医発0305第4号、令和6年3月5日
外用薬の使用部位は記載する必要があるか?
- 処方せん:必要
- レセプト:省略可能
外用薬を処方するには、処方せんに、投与総量の他に、1日の使用回数、使用時点、使用部位の記載が必要です。(2016年の診療報酬改訂以降)
ただし、診療報酬請求書(レセプト)については、注射薬・外用薬については、用法を省略することが認められています。
7 「処方」欄について
投薬すべき医薬品名、分量、用法及び用量を記載し、余白がある場合には、斜線等により余白である旨を表示すること。
(1) 医薬品名は、一般的名称に剤形及び含量を付加した記載(以下「一般名処方」という。)又は薬価基準に記載されている名称による記載とすること。なお、可能な限り一般名処方を考慮することとし、一般名処方の場合には、会社名(屋号)を付加しないこと。
なお、薬価基準に記載されている名称を用いる場合、当該医薬品が、薬価基準上、2以上
の規格単位がある場合には、当該規格単位を併せて記載すること。
また、保険医療機関と保険薬局との間で約束されたいわゆる約束処方による医薬品名の省
略、記号等による記載は認められないものであること。
(2) 分量は、内服薬については1日分量、内服用滴剤、注射薬及び外用薬については投与総量、屯服薬については1回分量を記載すること。
(3) 用法及び用量は、1回当たりの服用(使用)量、1日当たり服用(使用)回数及び服用(使用)時点(毎食後、毎食前、就寝前、疼痛時、○○時間毎等)、投与日数(回数)並びに服用(使用)に際しての留意事項等を記載すること。特に鎮痛・消炎に係る効能・効果を有する貼付剤(麻薬若しくは向精神薬であるもの又は専ら皮膚疾患に用いるものを除く。)については、1回当たりの使用量及び1日当たりの使用回数又は投与日数を必ず記載すること。
なお、分割指示に係る処方箋を交付する場合は、分割した回数ごとにそれぞれ調剤すべき
投与日数(回数)を記載し、当該分割指示に係る処方箋における総投与日数(回数)を付記
すること。
「診療報酬請求書等の記載要領等について」(昭和 51 年8月7日保険発第 82 号)
別紙2 診療録等の記載上の注意事項
前回(令和4年)からの変更点
(令和4年度)特に湿布薬については、1回当たりの使用量及び1日当たりの使用回数又は投与日数を必ず記載すること。
(令和6年度)特に鎮痛・消炎に係る効能・効果を有する貼付剤(麻薬若しくは向精神薬であるもの又は専ら皮膚疾患に用いるものを除く。)については、1回当たりの使用量及び1日当たりの使用回数又は投与日数を必ず記載すること。
別紙1 診療報酬請求書等の記載要領
(21) 「処方」欄について
ア 所定単位(内服薬(浸煎薬及び湯薬を除く。以下同じ。)にあっては1剤1日分、湯薬にあっては内服薬に準じ1調剤ごとに1日分、内服用滴剤、屯服薬、浸煎薬、注射薬及び外用薬にあっては1調剤分)ごとに調剤した医薬品名、用量(内服薬及び湯薬については、1日用量、内服用滴剤、注射薬及び外用薬(ただし、鎮痛・消炎に係る効能・効果を有する貼付剤(ただし、麻薬若しくは向精神薬であるもの又は専ら皮膚疾患に用いるものを除く。以下同じ。)を除く。)については、投薬全量、屯服薬については1回用量及び投薬全量)、剤形及び用法(注射薬及び外用薬については、省略して差し支えない。)を記載し、次の行との間を線で区切ること。
「「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について(通知)」、令和6年3月27日、保医発0327第5号
【注意】省略できるのは、診療報酬請求書(レセプト)であり、処方箋では省略することは認められていません。
外用薬の使用部位は、どのように書いたら良いか?
🅰️ 具体的に記載してください
用法・用量の不備などの場合には、薬剤師は疑義照会を行います。
「医師の指示通り」「用法口授」「必要時」「適宜」という記載では、指導・監査の時に、「記載不備」「不適切な記載」であるため、疑義照会を行ったうえで、調剤するように、という指導を受けています。
1回当たりの使用量及び1日当たりの使用回数又は投与日数の記載が誤っていた場合
🅰️ 記載内容が一致しない場合、薬剤師は疑義照会を行い、内容を確認いたします。
例えば、「全量63枚」と書いてあり、「1日1回、1回1枚、56日分」と書いてあった場合。「全量63枚」、「1日1回、1回1枚」の場合は、「63日分」に相当するため、薬剤師から疑義照会の連絡が来る可能性があります。