変更調剤ルール

処方せんに記載された医薬品をみて、実際に調剤する時、薬剤師は、以下のような点を見ています。

変更調剤

処方せんに、医薬品の名称が、「一般的名称」で記載されていた場合、または、薬価基準に掲載されている特定の銘柄名で記載されていた場合、いずれの場合であっても、処方せんの「備考」欄中の「保険医署名」欄に処方医の署名又は記名・押印がない処方せんを受け付けた場合、厚生労働省の通知に基づいて、変更調剤を行います。

特定の銘柄の後発医薬品の選択

薬剤師は、処方せんに記載された医薬品に対応する医薬品を調剤します
  • 一般名処方の場合、該当する医薬品を調剤します
  • 銘柄名処方の場合、「変更不可」でない場合に、変更可能であることが明らかな場合、患者に説明し同意を得ると、後発医薬品を調剤することが可能です
処方されている医薬品に対応しているのか?見極めるポイント:  薬価基準医薬品基準コード(9桁目まで)が共通している
 

含量規格が異なる後発医薬品への変更

変更後の薬剤料が、変更前と比較して同額以下になる場合、含量規格が異なる後発医薬品への変更が可能です
(例)6mg錠を1回2錠→12mg錠を1回1錠
 
例に挙げたように、錠数が少なくなる場合は、ほとんどの場合で安くなるので、変更可能です。逆の場合、高額になる場合があるので注意が必要です。(高額になる場合、なんらかの理由があって必要な場合に、患者さんの同意があれば、疑義照会をして変更する場合もあります)
 

類似する別剤型の後発医薬品への変更

変更後の薬剤料が、変更前と比較して同額以下になる場合、類似する別剤型の後発医薬品への変更が可能です
内服薬であり、以下の分類の範囲内であれば、変更可能です
錠剤(普通錠)、錠剤(口腔内崩壊錠)、カプセル剤、丸剤
散剤、顆粒剤、細粒剤、末剤、ドライシロップ剤(内服用固形剤として調剤する場合に限る。)
液剤、シロップ剤、ドライシロップ剤(内服用液剤として調剤する場合に限る。)
 
含量規格が同一の後発医薬品への変更調剤含量規格が異なる 後発医薬品への変更調剤類似する別剤形の 後発医薬品への変更調剤
「変更不可」等の記載なし
「変更不可」の記載あり不可不可
「含量規格変更不可」の記載あり不可
「剤形変更不可」の記載あり
「含量規格変更不可」及び 「剤形変更不可」の記載あり不可
 
「処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について」、保医発0305第12号、平成22年3月5日.
 

先発医薬品を調剤する場合

一般名処方は、原則、後発医薬品を調剤します。
同一剤型・同一規格の先発医薬品を調剤します(後発医薬品のような、類似剤型や別規格は不可)
 

変更調剤について医療機関との情報提供

変更調剤を行う場合、事前の疑義照会は不要です
変更調剤後に、処方元医療機関に情報提供をします(情報提供の方法は、あらかじめ合意した方法に基づきます)
  • 調剤した薬剤の銘柄等に係る情報提供の要否
  • 情報提供の方法
  • 情報提供の頻度 等
 

注意点

含量規格を変更してはいけない場合

  • 含量規格で適応症が違う薬剤の場合
含量規格で適応症が異なる薬剤があります。適応症であれば、変更可能です。
含量規格ごとに適応症が異なる医薬品の一例 ・リクシアナ錠  ・非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制 [15mg, 30mg, 60mg]  ・静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制 [15mg, 30mg, 60mg]  ・下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制 [15mg, 30mg]
 

剤型を変更してはいけない場合

  • 剤型ごとに適応症が異なる薬剤の場合
剤型ごとに適応症が異なる医薬品の一例 ・チラーヂンS散  ・乳幼児甲状腺機能低下症 ・チラーヂンS錠  ・粘液水腫、クレチン病、甲状腺機能低下症(原発性及び下垂体性)、甲状腺腫
チラーヂンは、散剤と錠剤は適応症が異なるため、そのままでは「散剤が入手できないため、錠剤を粉砕し乳糖を賦形して調剤する」という変更調剤は難しいので工夫が必要です。
 

含量規格を変更するために、同意・疑義照会が必要な場合

  • 変更後に、薬剤料が高額になる場合
剤型ごとに適応症が異なる医薬品の一例 ・チラーヂンS錠  チラーヂンS錠25μg 9.80円/錠    チラーヂンS錠50μg 9.80円/錠  *「25μg錠を2錠」>「50μg錠を1錠」
チラーヂンS錠は、25μg錠と50μg錠が同額です。そのため、
  • 「25μg錠を2錠」→「50μg錠を1錠」:変更調剤可能(事後に報告)
  • 「50μg錠を1錠」→「25μg錠を2錠」:変更調剤不可(どうしても変更が必要な場合は、疑義照会)
 

変更調剤の当面の取り扱い

これまで、先発医薬品に変更する場合には、「疑義照会」が必要でした。
ただし、医療用医薬品が供給困難な現状を受けて、先発医薬品の変更調剤に関する事務連絡(令和6年3月15日)が出されました。この事務連絡により、以下の変更調剤が可能になりました。
(後発)→(先発)
変更不可でない場合、患者に説明し同意を得れば、先発医薬品を調剤可能
処方元医療機関には、合意した方法で事後報告
(後発)→(後発):薬剤料が高額になる場合
変更後の薬剤料が高額になる場合でも、患者に説明し同意を得れば、先発医薬品を調剤可能
処方元医療機関には、合意した方法で事後報告
別剤型への変更
類似する別剤型の後発医薬品への変更調剤がやむを得ずできない場合に、次に掲げる分類間の別剤型への変更調剤が可能と、されました
ア 錠剤(普通錠)、錠剤(口腔内崩壊錠)、カプセル剤、丸剤
イ 散剤、顆粒剤、細粒剤、末剤、ドライシロップ剤(内服用固形剤として調剤する場合に限る)
つまり、調達できない場合には、変更調剤として、錠剤→散剤への変更も可能
ただし、ここに掲載されていない剤型への変更は、変更調剤として行うことはできません。必要な場合は、疑義照会を行います((例)錠剤→液剤、錠剤→ゼリー剤)
 
 

処方せんの書き方の工夫

含量規格を指定する場合

大きい錠剤が飲めない場合、小さい大きさの錠剤を選択することもあります。
例のように、変更不可としたうえで、丁寧に付箋に理由をつけてくださる医療機関もあります。
 
この場合、下のように処方していただくことも可能です。
該当する薬剤のところにコメントで「含量規格変更不可」とある場合、
  • 「カルボシステイン錠250mg」→該当する銘柄の後発医薬品を選択可能です
  • 当面の取り扱い(令和6年3月15日)によると、先発医薬品も選択可能です
このように、小さい錠剤、という意図を生かした上で、薬剤の選択の幅があります。
(医薬品の供給困難な現状では、一般名処方であれば銘柄選択の幅があるため、非常にありがたい書き方です。)

剤型を指定する場合

当該の医薬品にコメントで、「剤型変更不可」と記載してください。
一般名処方の場合、
  • 医薬品の銘柄:該当する医薬品を選択します
  • 剤型:指定通りの剤型を調剤します
  • 含量規格:変更可能
 
 
厚生労働省保険局医療課:「現下の医療用医薬品の供給状況における変更調剤の取扱いについて」、事務連絡、令和6年3月15日.
厚生労働省保険局医療課長、厚生労働省保険局歯科医療管理官:「処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について」、保医発0305第12号、平成24年3月5日.
 

区分がない医薬品の変更調剤

対象の製剤が「先発医薬品」か「後発医薬品」のどちらに該当するかを正確に調べるためには、厚生労働省が公表しているリストを確認します。
ただし、「各先発医薬品の後発医薬品の有無に関する情報」をみると、「先発医薬品」でも「後発医薬品」でもなく、「空欄」で記載されているものがあります。この空欄の医薬品について、どのように対応するか、迷うことがありますので、下記にまとめます。
 
準先発品・・昭和42年以前に承認・薬価収載された医薬品のうち、価格差のある後発医薬品がある医薬品(先発・後発医薬品制度ができる前の医薬品だが、制度ができて以降、後発医薬品が販売されているので、「先発医薬品」のような扱い)
(例)アドナ錠、ラシックス錠
【医科】一般名処方加算を算定可能 「加算1」「加算2」
【調剤】後発医薬品の数量シェア(置換え率)の計算の分母には含まれない
変更調剤ルール:先発医薬品と同様
 
基礎的医薬品・・保険医療上の必要性が高く、医療現場において長期間にわたり広く使用されて有効性・安全性が確立されている医薬品であって、継続的な市場への安定供給を確保する必要があることから薬価上の措置が行われた医薬品群(平成28年から)。
【医科】一般名処方加算品目からは除外されている
【調剤】後発医薬品調剤体制加算における後発品置換率の計算対象から除外されている
変更調剤ルール
  • 「基礎的リスト」に掲載されている基礎的医薬品:後発医薬品と同様に調剤する
  • 「基礎的リスト」に掲載されていない基礎的医薬品:先発医薬品と同様
基礎的医薬品の例(1)
・・以下の例では、「テグレトール細粒50%」は、「基礎的医薬品対象品目リスト」に掲載されているが、「基礎的リスト」には掲載されていない(=先発医薬品の変更調剤ルール)
  • テグレトール細粒50% ※「基礎的リスト」には掲載されていない
  • カルバマゼピン細粒50%「アメル」:「基礎的リスト」に掲載
  • カルバマゼピン細粒50%「フジナガ」:「基礎的リスト」に掲載
基礎的医薬品の例(2)
・・以下の例では、「バクタ」「バクトラミン」は、「基礎的医薬品対象品目リスト」に掲載されているが、「基礎的リスト」には掲載されていない(=先発医薬品の変更調剤ルール)
  • バクタ配合顆粒/錠:※「基礎的リスト」には掲載されていない
  • バクトラミン配合顆粒/錠:※「基礎的リスト」には掲載されていない
  • ダイフェン配合顆粒/錠:「基礎的リスト」に掲載
 
局方品(日本薬局方収載医薬品)・・・日本薬局方に収載されている医薬品。局方に定められた規格に合わせて製造されている。
(例)プレドニゾロン(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/2456001
  • プレドニン錠5mg
  • プレドニゾロン錠「タケダ」5mg
  • プレドニゾロン錠5mg(旭化成)
  • プレドニゾロン錠5mg「VTRS」
  • プレドニゾロン錠5mg「NP」
  • プレドニゾロン錠5mg 「トーワ」
  • プレドニゾロン錠5mg「ミタ」
古くからある局方品には、先発・後発の区分がないものがいくつかある。
例示したプレドニゾロンは局方品で、先発・後発の区分がありません。「プレドニゾロン錠5mg「(会社名)」」と処方されている場合、見た目には後発医薬品の銘柄名のようにみえますが、後発医薬品の銘柄名処方とは違って(後発医薬品ではないため)、他の銘柄への変更はできない(変更には疑義照会が必要)。
ただし、一般名処方されていた場合には、どの銘柄も調剤可能。
「プレドニゾロン錠5mg」と記載されている場合(一般名処方)
→上記のいずれでも調剤可能
「プレドニン錠5mg」と記載されている場合(後発ではない特定の銘柄名)
→「プレドニン錠5mg」を調剤
「プレドニゾロン錠5mg「(会社名)」」と記載されている場合(後発ではない特定の銘柄名)
→「プレドニゾロン錠5mg「(会社名)」」を調剤
 
日本薬局方収載品は最低薬価が少し高い(必要な薬であるため、安くなりすぎないように保護されている)
 
統一名収載品
「統一名収載されている日本薬局方収載医薬品」は、先発・後発の概念がないため、変更調剤では、先発医薬品と同様の考え方
(例)「各先発医薬品の後発医薬品の有無に関する情報」を見ると、スピロノラクトンを一錠中に25mg含有している製剤には以下のものが掲載されています。
「CH」以外の銘柄が、「各先発医薬品の後発医薬品の有無に関する情報」に掲載されていない理由 →統一名収載であるため
  • アルダクトンA錠25mg:空欄 ・・・准先発品
  • スピロノラクトン錠25mg「CH」:3 ・・・後発医薬品
  • スピロノラクトン錠25mg:3 ・・・低価格のため統一名収載となった局方品
    • スピロノラクトン錠25mg「杏林」
    • スピロノラクトン錠25mg「ツルハラ」
    • スピロノラクトン錠25mg「トーワ」
    • スピロノラクトン錠25mg「日医工」
    • スピロノラクトン錠25mg「NP」
    • スピロノラクトン錠25mg「TCK」
「統一名収載されている日本薬局方収載医薬品」は、先発・後発の概念がないため、変更調剤では、先発医薬品と同様の考え方
 
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