細胞障害性抗がん薬(従来型抗がん薬)

細胞障害性抗がん薬(従来型抗がん薬)

① 薬効群の概要

細胞分裂(DNA合成/紡錘体形成など)を直接障害してがん細胞を殺傷する薬。一方で、骨髄・消化管粘膜・毛包などの増殖が盛んな正常細胞も障害しやすい。
  • 作用は「標的分子」よりも 細胞周期/核酸代謝 に依存することが多い
  • 代表的な有害事象:骨髄抑制、悪心・嘔吐、脱毛、粘膜障害(薬剤ごとの特徴あり)
  • 支持療法(制吐、感染対策、腫瘍崩壊症候群対策など)とセットで管理される

② 作用機序(主な分類)

  • アルキル化薬:DNA架橋形成など → 複製/転写障害
  • 代謝拮抗薬:核酸合成阻害(葉酸代謝、ピリミジン/プリン代謝など)
  • 抗腫瘍性抗生物質:DNAへのインターカレーション、フリーラジカル生成、トポイソメラーゼ阻害 など
  • 微小管阻害薬(紡錘体阻害):微小管重合/脱重合を阻害 → 有糸分裂停止
  • トポイソメラーゼ阻害薬:DNA切断-再結合過程を阻害

③ 代表薬

代謝拮抗剤

  • 葉酸拮抗
  • ピリミジン拮抗
  • ヌクレオシド類似体
  • プリン拮抗

トポイソメラーゼ阻害薬

 
分類代表薬(一般名)ポイント(例)
アルキル化薬シクロホスファミド、イホスファミド骨髄抑制。出血性膀胱炎(メスナ併用など、レジメン依存)。
白金製剤シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチンシスプラチン:腎毒性・高度悪心嘔吐(補液/制吐重要)。オキサリプラチン:末梢神経障害。
代謝拮抗薬メトトレキサート、5-FU、カペシタビン、シタラビン粘膜障害・骨髄抑制。MTXは腎機能/レスキュー(葉酸)など注意。
アントラサイクリン系ドキソルビシン など心毒性(累積)。赤色尿など。
タキサン系パクリタキセル、ドセタキセル末梢神経障害、骨髄抑制。過敏反応対策が必要な場合。
ビンカアルカロイドビンクリスチン など末梢神経障害、便秘/麻痺性イレウス。血管外漏出に注意。
トポイソメラーゼ阻害イリノテカン、エトポシドイリノテカン:遅発性下痢(支持療法)。骨髄抑制。

④ 観察・指導ポイント(共通)

  • 骨髄抑制:発熱(発熱性好中球減少症)、出血傾向、貧血症状の早期発見
  • 感染対策:手洗い、口腔ケア、受診目安(発熱など)
  • 悪心・嘔吐:制吐薬の使い方、脱水予防
  • 口内炎/下痢:セルフケア、食事、症状が強い場合の連絡
  • 末梢神経障害(薬剤による):しびれ、巧緻運動低下、転倒リスク
  • 血管外漏出:疼痛、発赤、腫脹(投与中~後)
⚠️
従来型抗がん薬は 骨髄抑制と感染 が重大リスク。発熱(目安:38℃以上)や強い倦怠感、出血、呼吸苦などは緊急対応が必要になり得るため、施設レジメンの指示に従う。